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WHO 飲料水の硬度
WHO 飲料水の硬度
 
   2011年に世界保健機関(World Health Organization: WHO)は、「WHO 飲料水の硬度」を「WHO 飲料水水質ガイドライン」のための基礎資料として準備し、WHOのホームページでも公開しているのでお知らせ致します。
 
   この資料に関し、特にマグネシウムに関連する概要をハイライトします。
 
   硬度は、水に溶けた多価金属イオン(主にカルシウムとマグネシウムイオン)により、1リットルあたりの炭酸カルシウムの量に換算しミリグラムとして表示します。注) 硬水の定義 [CaCO3] (mg/L) = Ca (mg/L) X 2.50 + Mg (mg/L) X 4.12。水の硬度は、60 mg/L未満を軟水、60–120 mg/L未満を中硬水、120–180 mg/L未満を硬水、180 mg/L以上は高度な硬水です。
 
   飲料水からのマグネシウム摂取量は、成人1日当たり2リットルの飲料でおよそ軟水地域で2.3 mg、硬水地域で52.1 mgです。
 
   カルシウムとマグネシウムは必須ミネラルでヒトの健康に有益です。どちらの栄養素も摂取不足すると健康への有害な影響をもたらす可能性があります。カルシウムとマグネシウムの推奨摂取量は、国家的および国際的レベルで設定されています。
注)
 日本人のマグネシウム食事摂取基準(2015年版)をご参照ください。
 
マグネシウム
   マグネシウムは体内で4番目に豊富な陽イオンで細胞内液中ではカリウムに次いで2番目に豊富な陽イオンです。マグネシウムは、およそ350のエネルギー代謝系などに関係する酵素の活性化に関与しています。また、たんぱく質と核酸の合成にも関与し、正常な血管張力およびインスリン感受性の維持に必要です。全身で平均約25g、うち60%が骨に存在しています。低マグネシウムは、内皮細胞の機能不全、血管反応の増加、血中C反応性タンパク(CRP)濃度の上昇(冠状動脈硬化性心疾患の危険因子である全身性炎症性マーカー)、インスリン感受性の低下に関連しています。低マグネシウム状態は、高血圧、冠状動脈硬化性心疾患、2型糖尿病およびメタボリックシンドロームに関係しています。
 
高血圧
   マグネシウム不足は高血圧の発症に関係し、血圧と血清マグネシウム値の間には負の相関が報告されています。しかし、臨床試験からのデータはまだ不十分です。
 
不整脈
   心室と心房由来の不整脈は、低マグネシウム血症患者と閉経後女性に報告されています。致死性不整脈、心室頻拍はマグネシウム静注で治療されています。
 
子癇前症
   子癇前症(妊娠中毒症、妊娠20週後の高血圧症)とタンパク尿の合併症には、何十年間もマグネシウム塩で治療されて来ました。最近の臨床試験では硫酸マグネシウムを使用し子癇のリスクが50%減少したと報告されています。
 
動脈硬化
   動物実験では、マグネシウム摂取と動脈硬化の程度や発症と逆(=保護的)の関係が報告されています。
 
冠状動脈硬化性心疾患
   ヒトでは、マグネシウムと冠状動脈疾患は逆(=保護的)の関係のエビデンスがあります。 3つの横断的研究では、血中C反応性タンパク濃度(CRP:冠状動脈疾患のリスク因子としての炎症マーカー)とマグネシウム摂取や血中マグネシウム濃度の間に逆の関係があり、マグネシウムには抗炎症作用の可能性を示唆する報告があります。
 
糖尿病
   いくつかの研究で2型糖尿病におけるマグネシウムの重要性が報告されています。最近の2つの研究では、マグネシウム摂取と2型糖尿病を発症するリスクとの間に逆(=保護的)の関係が報告されています。経口マグネシウムサプリメントは、インスリン感受性と2型糖尿病の血糖コントロールを改善することも報告されています。
 
マグネシウム不足状態
   アルコール中毒と腸管吸収不良症候群は、マグネシウム不足と関連した状態です。特定の薬、例えば利尿剤、ある種の抗生物質とガンの化学療法は、腎臓からのマグネシウムの排泄を増やすので、患者には治療の一部としてマグネシウムをサプリメントすべきです。
 
高マグネシウム血症
   高マグネシウム血症の主な原因は、マグネシウム排泄能が著しく低下する腎不全です。マグネシウム塩の摂取増加によって排便習慣(下痢)に変化が起こる可能性がありますが、めったに正常な腎機能を備えた人では高マグネシウム血症を来たすことはありません。
 
消化管機能
   マグネシウムと硫酸の両方が高濃度(それぞれおよそ250 mg/Lを超える)で存在する飲料水は便通を良くする効果があります。下剤の効果はサプリメントの形ではマグネシウムの過剰摂取により出ますが、食事中のマグネシウムと同一ではありません。
 
 
(参考文献)
WHO Hardness in Drinking-water
Background document for development of WHO Guidelines for Drinking-water Quality. World Health Organization, 2011

http://www.who.int/water_sanitation_health/dwq/chemicals/hard...
 
 
【MAG21研究会コメント】
   WHOが「飲料水の硬度」をまとめて公開したのは、マグネシウムは必須ミネラルのひとつで、ヒトの健康に有益であるエビデンスの蓄積により、飲料水からのマグネシウム摂取による人体内の様々な機能にマグネシウムが必要不可欠との認識が示されたからといえます。
 
   水の硬度は、主にカルシウムとマグネシウムイオンにより炭酸カルシウムに換算して表示されます。
 
   1957年に岡山大学の小林純教授が世界で初めて「水の酸性と脳卒中死亡率との相関について」を報告しました。日本各地600以上の河川の酸度・アルカリ度と地域住民の脳卒中の死亡率を調査し、酸性の水(軟水)のある地域では脳卒中での死亡率が高く、アルカリ性の水(硬水)の地域では死亡率が低く、水の硬度が脳卒中の死亡率と逆相関すると報告しました。この報告は大きな反響を呼び欧米で追試が行われました。

2007.08.23  女性及び小児とメタボリックシンドロームについて マグネシウムとカルシウム・・・
 
2008.01.22  WHO報告書 『飲料水中の栄養素』−その1−
 
2014.06.03  日本人のカルシウムとマグネシウムの食事摂取比率は2より低く、1.5〜1が望ましい
 
   当ホームページでは以下のサイトでWHOが報告している飲料水中のマグネシウムと健康などに関してご紹介してきました。
2008.01.22 WHO報告書 『飲料水中の栄養素』−その1−
 
2008.01.23  WHO報告書 『飲料水中の栄養素』−その2−
 
2008.09.30  WHOレビュー マグネシウム推奨量
 
2009.09.08 WHO 飲料水中のカルシウムとマグネシウム: 公衆衛生的意義 2009
 
 
 
マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。

 



 
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