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女性の血中マグネシウム、食事性マグネシウム摂取量と心臓突然死リスク

女性の血中マグネシウム、食事性マグネシウム摂取量と心臓突然死リスク

 

   2011年、米国Brigham and Women's Hospital・ハーバード医科大学、ハーバード大学公衆衛生学部およびMassachusetts General Hospital・ハーバード医科大学の研究者らが、女性の血中マグネシウム、食事性マグネシウム摂取量と心臓突然死リスクに関する報告をしたので、その論文概要を以下に紹介します。

 

背景:

   マグネシウムは、細胞および実験モデルにおいて抗不整脈の特性を有しています。しかし、心臓突然死(SCD)リスクとの関係は不明です。

 

目的:

   食事と血中で測定されるマグネシウムと心臓突然死リスクの関係を前向きに調査しました。

 

デザイン:

   分析はNurses’ Health Study(1976年に開始されたアメリカの看護師健康調査、登録時30〜55歳121700人)で行われました。対象は1980年の時点で病気を罹っていない88375人の女性で、マグネシウムの摂取量との関連を前向きに検討しました。

 

   マグネシウム摂取量、他の栄養素とライフスタイル要因に関する情報はアンケートを通して2〜4年毎に更新し、26年間の追跡調査期間中に505例の突然死または不整脈死が記録されました。

 

   血中マグネシウムについては、心臓突然死99症例と年齢、人種/民族、喫煙状況、心血管疾患の存在がマッチした対照291例のコホート内症例を対照に分析を行いました。

 

結果:

   交絡因子の多変量調整後、心臓突然死の相対リスクは食事性マグネシウム(相対リスク: 0.63(37%低いという意味です); 95% CI: 0.44, 0.91)と血中マグネシウム(相対リスク: 0.23(77%低いという意味です); 95% CI: 0.09, 0.60)の最低四分位(マグネシウム摂取量中央値 235 mg/dL、血中マグネシウム値 1.9 mg/dL未満)と比較して最高四分位(マグネシウム摂取量中央値 383 mg/dL、血中マグネシウム値 2.1 mg/dL以上)の女性で有意に低下しました。

 

   心臓突然死との逆関係は、血中マグネシウムが最も強く(P = 0.003)、マグネシウム値0.25 mg/dL (1 SD)毎の増加は心臓突然死のリスク41%低下(95% CI: 15%、58%)と関係していました。

 

コメント: 米国の血清マグネシウム基準値0.74〜0.95 mmol/L (1.8〜2.3 mg/dL)

      日本の血清マグネシウム基準値0.74〜1.07 mmol/L (1.8〜2.6 mg/dL)

 

結論:

   高い血中マグネシウム濃度と食事性マグネシウム摂取量は、心臓突然死の低いリスクと関連していました。

 

   観察された関連に因果関係があるならば、高い食事性マグネシウム摂取量、血中マグネシウム値の介入により心臓突然死のリスクを下げる可能性があります。

 

 

参考資料:

Chiuve SE, Korngold EC, Januzzi JL Jr, Gantzer ML, Albert CM. Plasma and dietary magnesium and risk of sudden cardiac death in women. Am J Clin Nutr 93:253-260, 2011

http://ajcn.nutrition.org/content/93/2/253.long

 

 

 

コメント

   この研究によると、米国では突然死の50%以上は冠動脈疾患の死亡(CAD)で年間184,000〜462,000人の死亡が認められ、殆どの心臓突然死の男性55%と女性68%には臨床的に心疾患が認められていません。そこで、低コストの主要な予防戦略が一般集団における心臓突然死の発症率を減少させるために必要で、今回の血中マグネシウム濃度と食事性マグネシウム摂取量と心臓突然死の低リスクとの関連がアメリカの看護師健康調査を基に研究結果が報告されました。

 

   今回の報告では、高い血中マグネシウム濃度と食事性マグネシウム摂取量は、心臓突然死の低いリスクと関連していました。心臓突然死のリスクは食事性マグネシウム摂取量が高いと37%低下し、血中マグネシウム濃度が高いと77%低下し、更に血中マグネシウム値0.25 mg/dL (1 SD)毎の増加は心臓突然死のリスクを41%低下すると報告されたのは大変興味深いものがあります。

 

   日本でも血中マグネシウム値が低い男性と女性が存在しますが、2つの問題点が有ります。まず、一般的にマグネシウムの重要性について認知が低い為、臨床現場に於いて患者さんの血中マグネシウムを測定する医師が少ないことです。次に、わが国で臨床検査に現在使用しているマグネシウムの基準値が境界型糖尿病やメタボ予備軍を含んだもので策定されたもので従来のままで完全健常者による基準値の再策定がされて無い為、下限値(日本の血清マグネシウム基準値1.8〜2.6 mg/dLですが)があまく設定されている為に低マグネシウム血症の患者さんが見逃されていると思われます(横田邦信、2007年11月9日 第27回日本マグネシウム学会総会で発表)。この問題は、早く解決し、現代に沿った正しいマグネシウム基準値の下で臨床に使用されるべきであると願っています。なお、日本の上限がアメリカより高いのは一般人口で多くの健常人が酸化マグネシウム(MgO)を服用していることが関係しているかも知れません。

 

   今回発表されたBrigham and Women's Hospital・ハーバード医科大学のChiuve氏は、アメリカの看護師健康調査を基に血清マグネシウム値と虚血性脳卒中リスクの関係についての研究結果も報告しています。

2014.11.15 女性の血清マグネシウム値と虚血性脳卒中リスク

 

 

 

マグネシウムに関する様々なご質問を心からお待ちしております。

 

 

 

 

 

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